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翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

ゼノブレイドDE二周年&ゼノブレイド無印12周年おめでとり!
昨年の繰り返しになりますが5/29-6/10の2週間弱はゼノブレイド祝祭週間と認定することにしましたので、皆さん普及させましょう!
とはいえ、下手に締切伸ばすとUPする気合いと根性が消え失せるので、予約投稿は掛けるんですけど。

今回は、昨年時点でほぼ完成していながらUP出来なかった作品をUPです。……リアル充満と2&イーラ、そしてミラにもちょっと顔出しちゃってて、結局DEは全然進められてなかったんですけど、……ごめんちゃい。一回クリアしてるからいいよね、とか思いつつも、撮りたかった風景をスクショ確保出来なかったのは少し心残り。

例によって二次苦手さんリターン用に商品画像置いておくので、ダメな人はリターンです。……ていうか私のブログ見に来てそれやる人いないと思うんだけど、うっかり検索で迷い込んだ時の保険っちゅーことで。
一手間掛けますがご寛恕くだされ。

■To Be Yourself ~ラインとダンバン~

 この森は夜になると獣の勢いが増す――そう教えてくれたのは道中のノポン商会の者だった。
 鬱蒼としたザトールの森の中、まだ日は高かったが、僅かに開けた場所に着いた一行はその日の野営支度を始める事とした。助け出したジュジュ、救出に加勢したオダマ、合流したダンバンとディクソンと、それまでの三人旅が打って変わっての大所帯である。
 慣れた手つきで夕餉の支度を始めるジュジュを遠目で見ながら「こりゃ俺がやるよりも美味い飯にありつけそうだなぁ」とぼんやり思っていたラインは、不意に後ろから肩を叩かれた。
 さっき火元に薪を届けに行ったダンバンが手招きしている。
「組み手つきあってくれんか、ライン」
 いたずらっ子のような目で呼びかけるその声に、妙な懐かしさを覚えてラインは頷いた。

 * * *

「ここなら飯の準備の邪魔にならんかな」
 少し離れた林の、やはり開けた場所でダンバンは振り返った。とんとんと、準備体操のようにその場飛びを始める。いつもの手合わせの始まりの合図だ。
 前にやったのは一年以上も前――モナドを手にダンバンが戦場に出る前の事。
 本来なら現役防衛隊員との手合わせなど望むべくもない年頃から、フィオルンとの繋がりもあって、ダンバンにはよく戦い方を教えて貰っていた。……いや、教えて貰うという程でもない。じゃれてもらっていたようなものだ。
 防衛隊の面々は、当時の自分にとっては誰も彼もすごく強い戦士のように映っていた。その中でも、一番槍と飛び出して恐ろしい機神兵にもたじろかず戦場を切り開いていくダンバンの姿は本当に輝いて見えていたし、そんな彼に稽古を付けてもらえる自分もまた誇らしく思っていた。いつかはダンバンのように強くなって、戦場を縦横に駆け巡る――そんな夢を当たり前のように抱いていた。
 手足をほぐしたラインが構えを取ったのを見ると、ダンバンもその場飛びをやめた。やめて、静かに重心を落として、左手一本を掲げる独特の構えでラインに向き直る。――一年前とは違う、だらりと下がったままの右の腕。
 しかし、右腕の構え無しですら、ダンバンには一分の隙も見いだせない。ラインは息を飲む。
――いや、隙がないってわかるようになっただけでも進歩じゃないか、俺。
 そう、昔はそんな事もわからなかった。遮二無二突っ込んでいっては躱されるばかりだった。
 でも、今は。
――ちったぁ強くなっているはずだ。俺は。
 自分の心に言い聞かせる。自分の心を奮い立たせる。
「おおおおっ!」
 雄叫びを上げてラインは突進する。固めた拳を振りかぶる。軌道を読んだダンバンは最小の動きで躱そうとする。
 だがラインは直前でぐっと踏ん張り、その場で足を振り上げた。のけぞる程に大きく避けるダンバン。長い髪が蹴りの風圧でばさりと舞った。
「いいフェイントだ!」
 射干玉色の瞳が喜びに輝く。ダンバンは笑みを浮かべながら手刀を次々と繰り出した。両の腕で弾きつつ、ラインは肉薄し拳を打ち出す。だが。
――当たらねぇ!
 相変わらずだ。シュルクが見えるという未来視、それがダンバンにもあるのではないかと錯覚するほどに、流れるような避けでダンバンはこちらの攻撃をいなし続けている。片や、こちらはかわしきれず腕に打ちつけられる数が増えてきた。相手は左だけの攻めだと言うのに。
「ちゃんと右手の方も攻めろよ。遠慮すんな」
 言いながら繰り出された中段蹴りを辛うじて受け止める。想像以上の重さに体が下がりかける、が。
――機神兵よりは軽いんだよ!
 飛びすさってダメージを殺すより、敢えてその場に踏ん張り、押し返す。片足だけのダンバンが僅かにたじろぐのを見て、勢いのまま肩から突っ込む。
「んおっ!?」
 直撃を受け、ダンバンの体が僅かに浮いた。すかさず追撃の拳を振るうライン。だが、ダンバンは大きくトンボを打って距離を取った。空を切った一撃に感嘆の息を吐く。
「やるなぁ。見違えたぜ?」
 ぞわり、空気に圧が加わった。笑みこそ浮かべているものの、瞳に強いものが宿ったのをラインは感じ取る。
 ゆらりとダンバンが左半身《はんみ》に構えを取った。肩で息をしながらラインも合わせてそろそろと重心を下げていく。次の攻撃はきっとさっきよりも苛烈になる――
「おら、イノシシども、飯出来たぞ」
 突然響いただみ声が空気をあっさり割った。
 銃剣の代わりにお玉を肩にかけてディクソンがこちらにやってくる。一目見るなり目をひんむいた。
「あーあーあー、若ぇモンこんなにボロクソにしやがって。……おーいカルナぁ!」
 治癒の技《アーツ》を持つ仲間を呼ばれて気付く。防御に徹した腕がかなり痛い。しかも、よっぽどの緊張感だったのか、足が急にがくがくとしてきた。……今までの戦いでもそんなことはなかったのに。
 ダンバンは、というと「まだ右の防御が甘いかなー」などと一人ごちている。先程の気迫は微塵も感じられない。
 張りつめていたものがとすんと切れて、ラインはその場に横たわった。

 * * *

「薪集めが終わったら周りを見張ってて、って言ったのに。二人して何やってんのよ」
 持ち前の長女気質でカルナが毒づく。癒やしのエーテルで痛みはあらかた収まったものの、打撲で腫れたところはまだ熱を持っているようだ。甲斐甲斐しく当ててもらうおしぼりの冷たさが気持ちいい。
「いやあ悪い悪い。コイツ、ずいぶん腕があがったから、つい楽しくなっちゃってさぁ」
 先に食事を終えていたダンバンがラインの分の木椀を持ってきてくれた。「あとは俺が面倒見るよ。まだ食えてないんだろ?」とカルナに水を向けると、毒気を抜かれたカルナは「それじゃお言葉に甘えて」と、鍋の番をしながら談笑しているシュルクとジュジュの方へ向かっていった。
「……腕、上がったか?」
 器を受け取りながらラインは訊ねる。ダンバンはわずかに眉を跳ね上げたものの、即答はせず、ラインの横に腰を降ろした。ラインは重ねて訊ねる。
「ホントに強くなれてんのかな、俺」
 強くなったと、昨日の自分よりも強いと、戦いの中では自分を奮い立たせる為にそう念じる。だが、圧倒的な力を前にして、ふと弱気の虫が頭をもたげてくるのは嘘ではない。そう、あの日の夜から――彼女を喪ったあの日から、消えない。
 ダンバンは僅かに向き直った。湖水のように静けさを湛えた瞳が優しくこちらを覗き込んでくる。
「お前なりの戦い方が見えてきたようだな」
 虚を突かれてラインはダンバンの顔を見つめた。ダンバンは静かに続ける。
「昔のお前は、俺になろうとしていたんじゃないか?」
 そうだ。その通りだ。その通りだった。
 舞うように斬撃を躱し、鋭く敵の急所に潜り込むダンバンに憧れていた。
「でも、お前はお前だ」
 ダンバンが倒れ、防衛隊で研鑽を積むうち、剣よりも盾での戦い方の方がしっくり来ているように思えて、次第に盾の、装剣での格闘術にのめり込むようになった。もしダンバンがまた戦場に戻れるようなら護れる自分になれるように。
 そう、護れる自分になりたかった。なのに……。 
「ダンバン、俺……」
「焦るな」
 ぽん、と肩に押し当てられた手のひら。静かに包み込むように降る声。
「お前はまだまだ強くなる」
 優しく、大きく、そして熱い。
「お前にしかなれないお前になれる」
 悲しみも怒りもきっと同じもののはず。でも、それを全て心の奥に飲み込んで、彼はまた戦場《ここ》に舞い戻ったのだ。傷ついた体に鞭を打ち、それでも成し遂げたい想いを抱えて。
 そう気付いたとき、こみ上げるようなものを抑えきれず、ラインは吐息のような言葉で応じるしか出来なかった。

 いつから退かないと決意したのだろう。
 守りを固め、仲間に攻めの好機を作る、そんな戦闘術《ロール》を身につけていった。先陣を切りつつも、自分の手で全てを勝ち取る姿に未練がなかったと言えば嘘になる。でも。
――それでいい。
 その戦い方でいい――そう言われたような気がした。
――それでいいんだ。
 これが俺の戦い方なのだと、胸を張っていいのだと。
 勝利を皆で掴む為に。次に何も喪わずに済むように。
 本当に自分の在りたい姿で在るように。
――もっと強くならないとな。
 淡く燐光を放ち始めたザトールの空を見上げながら、ラインは一人呟いた。
 護れなかったものの苦さを胸に眠る夜が、少しだけ軽くなったような気がした。

ザトールのスクショ撮ったら差し替えます


タイトルを見て、某90年代初頭アニメのED曲が浮かんだそこのアナタ!
いるのか?とも思うのですがいて欲しいです! ていうかいて!! お 願 い !!
『てやんでぇ』好きなんだよう! 私がスタッフだの声優だのとヲタ落ちしたきっかけの作品なので。
OPは当時のアニメらしいアニメアニメした曲なんですが、EDの普通っぽさ、これ、初期のドラゴンボールのEDにも通じるところがあって、作中の雰囲気とはがらりと色を変えるあの落差は子供心に好きでした。ヤッ太郎組み立ててくあの絵も好きなんだけどね!

(期間限定復刻DVDとはいえ、めちゃくちゃ高騰しててビビるんですが!? アマプラで見られるので、プラ使いはそっちの方がアクセスしやすいかも)

とはいえ、実はタイトルは難産で。というかむしろ後半の展開の方が難産「お前にしかなれないお前になれる」という台詞だけは書き始めた時にポンと決まっていたのだけれども、その周りを固める肉付けに時間が掛かりまくってまして。タイトルが決まった瞬間にスイスイ進んだようなものです。だってそもそもが「ラインとダンバンのガチンコが見たい」 と書き始めただけだったんだもん(テヘペロ)。回避でガチられたら多分この先もダンバンの方が圧倒的に負けないんだろうなぁとは思うのだけれども、そんなダンバンが一目置く位に育ちつつあるライン、という成長途中が書きたかったの! 中盤の「こいつ手加減要らないな」ってリミッター外した瞬間の嬉しそうなダンバンさんの表情が書きたかったの!!! その先の事は知るか!くらいだったのだけど、一緒にあの台詞が出てきたので、後半もちゃんと作ろうとなったわけです。ひどい作り方ですね。フィオルンごめん。
ただ、やっぱり個人的にラインの存在って自分の中ではすごく大きくて。だってゼノ系列で初めてのちゃんと機能するパワー型タンク ですよ!? リコさんもジギーさんも為し得なかったこの境地! AGL is POWER!を行きまくったバランスしか描けなかったゼノシリーズがちゃんと機能するパワーファイターをパーティに組み込んでくれた、この事がゲーム的な面としてすごく嬉しくて 。ジギーとかめちゃくちゃ好きキャラなんだけど、戦闘をサクサク進める上ではどうにも使い勝手が悪くて、常に二軍落ちさせざるを得なかったのが非常に残念でして。Ep3になると対人戦増える事でチョークしまくる攻略法もあったんですが、それを知ったのも後のこと。如何せん兄貴とロボ子が汎用性高すぎた…。

それにしてもラインのタンクぶりには本当にお世話になりました。ガウル平原の広さは戦闘ロールの大事さを教えてくれる道のりで、それを踏まえてのダンバン加入という戦略の幅の広げ方を考えると、やっぱりゼノブレ初代のゲームバランスの良さは神がかってる と思うのです。崩して転ばして、というゼノブレ戦闘の基本形、無印での経験がないままXや2やってる人はどうしてるのかなぁと心配になるレベルですが。遊べて、且つ話がしっかりしてて、と、初代は本当に全ゲーマーに必修科目にさせたい出来映え ですよ。

それはそうと、自分の書いたもの振り返ると、ダンバンさんパーティにいるだけでエンパワメントな人だなぁと。普通RPGの場合、最初の自操作キャラ=主人公キャラ=リーダーのイメージで話が進むような雰囲気があるのだけれども、ゼノブレの場合、ダンバンさんが入った瞬間にふっとパーティの中心がシュルクからズレる感覚があって、それがなんだか新鮮 だったのですよね。副班長の立ち位置から話を見ているというか。最終的に最初の自操作キャラが話の中心になり、世界の命運に強く立ち向かう形になるのだけれども、作品の流れ上揺らぎかける(のが当然であり作品的面白さである)主人公や若年世代を後ろから支える屋台骨みたいな人が一人いるだけで、随分パーティの安定感が増すなぁと思ったりするのです。(精神的癒やし専業(別名:今年の勇者)がいるのもつよつよなんですけどこのパーティ)

このリーダーずらし、実はスクウェア時代の高橋作品~モノリス作品を追いかけてるとかなり頻繁に出逢う独特の要素だとは思うのですけど、こういう群像劇的な構成の面白さを描き抜けるようになったのが2010年であり、モノリスソフトが任天堂傘下に入った事の意味なのかなと思ったりもします。ゼノギアスでバルトがフェイの立ち位置食っちゃって裏主人公呼ばわりされちゃうのは、やっぱりその後描かれるはずだったフェイの物語を作品が支えきれるだけの容量を持てなかった事も大きいのかなぁ、と後出し孔明(笑)。ゼノギアス・ゼノサーガで同人していた時は、作品が描こうとして描ききれなかったのが垣間見える物足りなさを埋めたくて仕方ないような感覚があったりもしたのだけれども、ゼノブレで好き勝手二次している時って、既に出来上がっている景色の中から安心して彼らの日常が描けるような、そんな安定感があったりします。正直、ここまで完成度高いと、二次創作としてはあまり書くことないかな~なんてプレイしながらは思っていたんですけど……逆ですね。普段の風景をどんどん書きたくなってきちゃう。

とはいえ、普段の風景を書くにはまず作品をもっと知りたい彼らが日常を過ごしている空気を、世界の風をもっと知りたい。もっとゲームの中を駆け回っていたい!

ゲーム遊び尽くして、その上で、次から次へと途切れずにTwitterやらPixivやらで作品をUPしてる人達、ホントスゴイ。
自分が書く時間はおろか、ゲーム時間すら覚束なくて、新作出るのに2本+外伝積んでるのを振り返るに、ホント、みんな偉いよう!
ホント私、一つの誕生日に1本UPするのもギリギリなのに。

追いつこう、なんておこがましくてしょうがないけれども、でも、自分のペースで、何とか、作品世界を存分に味わいながら、作品世界の風景を、私しかまだ見たことのないものを見出して、描いて行けたらいいな。
作品を描いてくれる人達から受け取ったものを、自分の言葉で返して行けたらいいな。

そんな思いをまた新たにした、そんな12年目/2年目の今日なのでした。


ツイにもUPしたらまた添付するねー。
今回もまた新書ページメーカーさんにお世話になりました。
フォントやら背景やら改行やらいじって成形してる時間は、昔コピー本製本してた時みたいなワクワクが大きくて、とっても幸せな時間ですわー。

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