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翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

ゼノギSS(マルー)参加しました!
ゼノギアス深夜の60分一本勝負なるものをTLで見つけて、おおおおっ!となっております。

 ……で、出来心で参加しようとし、出来上がったものがうっかりカプ話になってしまってうわわーお題違反やわーごめんなさいーとUP断念し、でも朝起きて、やっぱり参加したくてウズウズして、そして今に至るという。

 そういう意味だと「構想から1時間以内」の規定が守れてないような気もするのだけど、この話に関しては今朝起きてからひらめいて一時間で仕上げてみました。
 雪原アジト→ラスボスという、時系列的に相当ニッチな辺りだとは思うのですが、大丈夫かな、大丈夫だよな(ちょっとウロ/いやそれよりマルーの英綴りの方がもっとウロ)

 最近リア充(リアル充満)しすぎていて、自分のレゾンデートルたるヲタ分絶滅の危機(爆)だったので、左脳全開びりびりどかーん、ちょー楽しかったっす。
というか、本気の「楽しい」がまだ自分の中にしっかりあったんだ……しかもそれの成分ってゼノギで出来てるんだ……と、妙な再確認してしまいました。

 企画立ち上げしてくださった@yokutoさん、ありがとうございます~!
 次は、次こそは金曜22時にやり遂げたい~!




■キエナイモノ ~PRAY by Margarete Fatima~■
by 文月あずさ@jaderings

 しんしんと、しんしんと雪がボクらのアジトの周りに降り積もる。

 書物の中でしか知らなかった、雪という自然現象。
 テラフォームの結果生じた、とすれば、厳密には「自然」とは言いがたいのかもしれないけれど、でも、このさらさらとして手の平で溶けていき、それでも溶けきれずに残るそれは、ボクにとっては不思議な気持ちを呼び起こさせる。

 ボクの中にも、こうやって降り積もって、消えていって、それでも残るものがあるのかな。

 ギアを駆る皆が、各地を巡る間、ボクは時に皆に帯同し、そして時にこの雪原アジトに残ってそこに避難した人たちの慰問を行っていた。
 家族を喪った人たち、住む場所を喪った人たち、悲しみに激高し続ける者、苦しい胸のうちを認められず心を閉ざす者、いろんな人たちが、このアジトに集まっている。
 ギアに乗れないボクは、そういった人たちの間に入って、言葉を交わす事を自分に課していた。
 どんなに忙しくても、一日一度は誰かの話に耳を傾ける。
 心の叫びを受け止める。悲しさを受け取って空へと返す。
 それしか出来ないけれども、それでも、それが、ニサンの教母としてボクの出来る一番の事だと、ボクは思っている。

 時折、胸が張り裂けそうな言葉にも出会う事がある。
 自分の部屋に戻って、大きな声で泣いてしまう事もしばしばだ。
 受け止めた言葉と、自分の心の芯にある不安がふれあって、ギシギシと悲鳴を上げてしまう。

 みんな、無事に帰ってきて欲しい。
 淡雪のように、消えてなんか欲しくない。

 消えるのは悲しみだけでいい。
 幸せは、消えないんだ。

 何度も自分に言い聞かせ、何度も人へと説き続ける。
 凍えるような雪の中に、輝くような光を見つけようと、ボクもみんなもあがき続けている。
 そこに、未来<あす>に繋がるものがあることを信じて。

「教母様、昼のお話の時間ですよ」
 遠くから、シスターアグネスの声がボクを呼んでいる。
「ん、わかった。今行く」
 教導服の一番上、ニサン十字の刻まれたケープを羽織り直して、ボクは踵を返した。
 皆が世界を守る為に奔走するように、ボクはボクの役割を果たさなくちゃいけない。

 みんなの降り積もる思いが、世界を幸せに導くんだよ。
 そう説くニサンの教えを、もっともっと知ってもらう為に。

 窓から見える蒼穹の空。
 降り積もる雪も、流した涙も、そしてその下に芽吹く強い心も、すべて見つめてくれる空を背に、ボクは今日も歩いて行く。

 歩き続けていきたいと、強く思う。

~Fin~

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