忍者ブログ

翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

ゼノギSS(バルトとマルーの話)ツイにはUPしてたけどブログにはUPしてなかったの
8月10日はバルトの日!というわけで、2020年の時にUPしたSSなんですが、気がついたらこちらのブログには載せてなかったわ、と気付いたので再掲。

新書版メーカーたーのしー!てなって以降、作品ハピバ合わせで作ったSSは、こちらのブログに予約投稿してツイには別途新書版メーカーで成形してから出来るタイミングで投稿して、というスタイルだったのですが、その原則が出来ていない時期のUPだったので。

それはそうとして今年のバルトの日は何も作れなかったので、せめてもの賑やかしに。
やっぱり何かしたいのよう。

ちなみに下の前書き御託は一番最初に投稿しようとした2014年7月12日当時のままです。
消そうかとも思ったけど、自分記録だから残しておきます。


@yokutoさんが立ち上げてくれたWEB企画ゼノギアス深夜の60分一本勝負に投稿しようとして、ダメやカプ話やこれー、とボツったのがコレ。
(主催さんの意向でカプ要素は抜く、というのがありまして。でも勢いで書いてしまって、後で参加要項改めて見直したら、お題から外れてたよアワワワごめんなさいな状況に)

人と人とが交わり合うのが主題(だと私が勝手に思い込んでる)のゼノギアスにおいて、SSでカプ抜く話というのはきっついわー、と思いつつ、でもだからこそ挑み甲斐がある!と妙に燃えてしまいまして、次の朝に結局遅刻参加はしたんですが、でも、最初の勢いも大事にしたい気もするので、自分ヒストリーとして残しておきます。

 うわー、ゼノギで書くの何年ぶりだよーていうか時系列いつだよこれーそんなあやふや状態ですが、イキオイの産物なのでご寛恕いただければ……。

(脳内年表パラパラ、多分矛盾しない大丈夫……なハズ)

 しかし、ホントに楽しかった~!
 機会をいただけて、本当に嬉しかったです!



■ボクにできること~マルグレーテ・ファティマ~■

「お、教母さま、またですかい?」
 なじみの整備クルーが下の方から声を張り上げた。ボクはギアハンガーの上のタラップから彼の顔をのぞき込む。
「大丈夫? お邪魔じゃない?」
「大丈夫でさぁ。コクピット周りの点検はもう済んでまさぁ。ほいっと」
 そういうと、彼はわざわざ作業の手を止めて、ブリガンティアのコクピットのハッチを開けてくれた。ボクはぺこりと頭を下げる。
「いつもありがと」
「いやいや、こちらこそ。……若にはナイショ、だろ?」
 機械油と煤にまみれた顔で、それでもクルーのおじさんは、いつもどおりのニッコリ笑顔でボクの手を支えて、ボクがコクピットの中に入るのを手伝ってくれた。周りから見えないよう、コクピットの蓋をやや斜めに下ろしてくれる。
 いつも申し訳ないな、と思いながら、でも、ボクはその好意に甘えている。
「うん。……本当にありがとうね」

 居並ぶ計器を触らないよう、ボクは慎重に身を滑り込ませると、シートの部分を持ってきたタオルで優しく拭った。
 見た感じは特に汚れている様子はない。きっと計器周りのメンテナンスを行う時に、整備の人たちがいつもキレイにしてくれているはずだ。
 それでも、ボクはこのシートの掃除をする。そう決めている。

 ボクは若と一緒に戦うなんて出来ない。
 自らの手足のようにギアを操る若と共に、戦場に出る事なんてできっこない。
 だからせめて、若がいつもいるこの場所は、ボクが大事にしていきたい。
 いつもで気持ちよく過ごせるようにしておきたい。

 ギア乗りではない、整備士でもないボクが、ギアを触るのは、本当は良くない事かもしれない。
 でも、若の為に、少しでも出来る事はやりたい。
 その気持ちはいつも変わらない。いつだって変わらない。

 いつものように背もたれを拭い、肘掛けを拭こうとした、その時だった。

「マルー、そこか?」

 なんの前触れもなく、コクピットの蓋が全開になった。ぱっと差し込むハンガーの灯り。それを背にしてボクをのぞき込む大きな影。
 ひゃっ、と悲鳴が出そうになったところに、あきれたような声が降ってきた。
「なんだ、こんなところにいたのか」
「こ、こんなところって言い方はないでしょ!」
 思わず声が裏返ってしまった。……ああ、きっと顔が真っ赤っかになってるぞ、ボク。
 それを気づいてか気づかないでか、若はズカズカとコクピットの中に入ってくると、ボクとボクが握りしめているタオルとを交互に見やった。
「ああー、なるほどなー」
「な、なななんだよ。なんかワルイ?」
 まるでイタズラを見抜かれた時みたいだ。思わずボクが開き直ると、若はぷぷっと吹き出した。
「まぁいいさ。それより、爺が探してたぞ。『今日のお勉強をなさいませんと』、だってさ」
「あああっ! しまったあああ!」
 そうだ、今日は爺との約束があったんだ。すっかり忘れていた。
 若が一足先にコクピットから出て、ボクの手を引いてくれた。段差があるから、いつも出る時は整備の人を呼んで出してもらうのだけれども、若の大きな手は、ボクの体を軽々と引き上げてくれた。
 タラップに降り立った瞬間。

「いつもありがとな、マルー」

 若の隻眼が細められた。でも、その頬が急に上気する。自分の言葉が、急に恥ずかしくなったみたいな、そんな、笑顔と照れ顔のあいのこみたいな変な顔。
……そこ、照れるところじゃないじゃん。そう思いながらもボクも笑い返す。
「どーいたしましてっ!」
 ぶんっと握った手を大きく振って駆け出した。
 真っ赤になってしまった顔を、これ以上若に見られないように。

~FIN~

拍手

PR

コメント

コメントを書く