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翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

EP3の16週年おめでとりに妄想考察SS書いてみた。
EP2の18周年おめでとりは事情によりまともに参加出来なかったので、こっちは頑張っておめでとりしますです。がおー(吠えてどうする)

さて、今回は勝手考察したものをSSという形に仕上げてしまいました。

ズバリ実はハカセ&スコットクンがスキエンティア関係者だとしたら。

考察ずるずる書くだけは書いてみたんですけど、どうせ幻覚なんだから二次創作しちゃえばいいんじゃない?的ウドゥさんからのナゾ電波が降ってきて、そしたらあれよあれよた~のしー!
ああそうですアホの子ですよ。楽しいんですよ。
アウターファイル&ゼノフリAVG履修者じゃないと何の話かサッパリ妖精のおいてけぼり、私が書いてて楽しいだけの妄想SSです。(ミッシングイヤーは無くてもだいじょぶかも)

実のところ原作に対する見直しがかなりズサンなので、もしかしたらオカシイ所が出てくるかもしれませんが、宇宙創成の広い心持ちで楽しんでいただければ幸いです。多分【うるおいさらさらヘアー】を作るくらいの時間(336h)があればDS含め全作再度通しプレイ&鑑賞はたやすいとは思うんですが、情報整理考えると「2週間お試し下さい」程度じゃ収まらないし(ていうか断続とはいえ頭の片隅に置きつつ暮らしてもう20年ですぜダンナ)、ちゃんと解釈するにはゼノクロとゼノブレ2と、そして次に積まれるゼノブレ3も目を通したいし。
ゼノが積まれすぎてて大渋滞ってホントすごい。EP3終わった後では想像も出来なかったから。

毎回ですが二次創作回れ右な方の為にクッション置いておきます。
考察ずるずるは後書きにて。

※なおクッション画像は(当然ながら)中古です。ここ読む人はもう持ってる人ばっかだからいらんだろうけど、ショップは可能な限り揃えてみた。



クミンシード

 スコットクンはハカセの助手である。
 今日もハカセの言いつけに従い、ハカセと共に作成している巨大ロボットの為の部品を発注しにわざわざ第二ミルチアくんだりまで出掛け、一通りの用事を済ませたところで、いきつけのカフェでランチとしゃれ込んだ。
 このカフェ、亭主のこだわりカレーの評判が高く、昼時はカフェというよりもカレースタンドに近い。
 喧騒と方々から漂ってくる香辛料の香りをかき分けて、スコットクンは窓際の端のボックス席に陣取る。ココナッツミルクの甘みが効いたカレーを頬張っていると、ふと、テーブルの上に影が落ちた。
「相席、よろしいかしら」
 見上げると背の高い女性が立っていた。金色の髪をひっつめにし、丸縁の遮光眼鏡をかけている。眼鏡越しからでも感じる鋭い眼光。
 答える代わりにスコットクンはさらりと指文字を走らせた。
 scientia est potentina《知識は力なり》.
 それを見て、彼女はさも当然であるかのように向かいの席へと自分のトレイを置いて席についた。溶岩のように赤くどろりとしたカレーが香る。随分と辛そうだな、そんな事を思いながらスコットクンは口を開いた。慇懃に。
「お久しぶりです。ドクトゥス」
「えーと、今は誰だったかしら。エージェント……スコット?」
「スコットクンですよ。『クン』まで名前です」
 それまで鉄面皮のようだった彼女がきょとんと目を見開いた。スコットクンが嗤う。
「今日はいい日だな。この稼業は長いですが、貴女の事を二つも知ることが出来るなんて」
「二つ?」
「貴女は辛口カレーが好みということ、貴女もそんな顔をすることがあるんだってこと」
 ドクトゥスと呼ばれた女性はやや憮然とした表情を見せたが、軽く息を吐くと常の自分に戻すかのように笑みを浮かべる。まるで猛禽の笑み。
「ご挨拶ね。それより首尾はいかが?」
「なんとかヴェクター第一の人間に知己を得ることは出来ました。ファウンデーション船籍の連中とも今じゃ呑み仲間ですよ」
 ぐい飲みよろしくスプーンを持ち上げて見せるスコットクン。カレーを口に運びながらドクトゥスは尋ねる。
「それどころかヴェクターの最高機密もいじったって聞いたけど?」
「KP-Xですか? 触らせて貰ったのは外殻だけですが、ありゃあホントに面白いですね。まともにいじろうとしたらお目付役共々身持ちが固くて難儀しそうですが。まぁ今度ワームの一つでも入れて試してみましょうかね」
「返り討ちに遭わないようにね」
 端から見れば相席の男女が世間話をしているだけ。でも、きちんと聞く者がいたら、会話の端々に混じる単語にぎょっとしただろう。だがこの店はそういう無粋な店ではない。それを知った上でスコットクンはこの場所を選んでいる。
「何よりハカセが乗り気なんですよ。あの人、『人型ロボットに興味はない』なんて言ってましたが、あれだけの自立個体、さすがに気になるようでして。自分のロボの操作系プログラムを熱心に組み直してましたよ」
「開発が急に進んだと思ったらそういうこと。相当の刺激になったようね。出資している甲斐があるというもの」
「ええおかげさまで。――このご時世、ヴェクターともハイアムズとも異なる兵器システムを作ろうなんて考える人間はいない。稀有な存在がよくも見つかったものです」
 スコットクンは感嘆したように言うとカレーを一口飲み込み続けた。
「あの方は純粋ですよ。それゆえに御しやすい。夢にひた走らせられているうちは僕らを裏切ることはないですよ」
 基幹システムをヴェクター製に依存すれば幾らでも効率良く機械を御せる。だが彼らは――ドクトゥスやスコットクンが所属する組織の人間は――それを望まない。そこに依存したくないという矜持が彼らの組織を貫いている。
 そういった点で、あのハカセの知識と実力、そして他には目もくれぬ情熱は願ってもないものだった。採算度外視ではあるが、彼らの理想に対し、着実に成果を上げている。
「そうね、そうあって欲しいものね」
 口角泡飛ばす彼を見ながらドクトゥスはカレーを平らげていったが、ふとグラスに口をつけながら呟いた。
「心配なのよ、貴方があの博士の妄想に取り込まれてるんじゃないかって。潜り込んだにしては随分体よく使われているようだし」
 今度はスコットクンがきょとんとする番だった。「うーむ……」と行儀悪くスプーンをくわえて虚空をしばらく見つめていたが、ぱっと口を離すと、おどけて舌を出す。
「まぁオトコノコにとってロマンは大好物ですからね。今回の事は仕事抜きにしてもいい巡り合わせだったと思ってます。せいぜい道化は続けますよ」
 柔らかな物腰と人好きする顔や仕草、その裏に眠っているのが、ロボット技術への羨望と探求だけではないと誰が思うだろうか。まるで――そう、まるで、カレーの中に仕込まれ、確かにカレーを構成しているというのに、決してそれそのものを見せてくれないスパイスのよう。
 そんなものなのかもね、とドクトゥスは思う。市井に溶け込みながら、互いに誰が誰ともわからずに、でも、スキエンティアという確かな理想で繋がっている自分達は。
「頼んだわよ」
 最後の一口を放り込んで、彼女は思案げに首を傾けた。
「次はもう少し辛口も試してみようかしら」
 鯨の絵が描かれたグラスの中で、残った氷がカランと音を立てた。

カレーの写真が手持ちに無かったので皿だけ撮ってみた


後書きイイワケ・この妄想の端緒~。

ハカセ&スコットクンが「ヴェクターの手に寄らないシオンによるKOS-MOS」にいっちょ噛みする展開になったのは、本来上記のKOS-MOS最終形態作りに関与するのはスキエンティアだったんじゃないかな、とふと思ってみたりしたんですね。
ただ、(諸事情もろもろで本来構想を切り詰めてEP3までに収める都合上)スキエンティアとの関わり描写はミッシングイヤー及びドクトゥスに留まらざるを得なくなり、関与の薄くなったスキエンティア関係者の代わりを彼らドタバタコンビが担う事になったんじゃなかろうか、と思いまして。

二人がエルザ内に強引間借りするゼノフリ→EP2展開は、後にスキエンティア関係者がエルザに乗り込んできてKOS-MOS制作に携わる、そのための環境作りを見越して行われていたのかも、とすら思ったんですわ。設備はあるぞ!(どーん) ついでにアシェルも魔改造出来ちゃうぞ(どどーん!)てね。
(アシェルは元々ヒュウガのアニマの器ですからー、とでも言わんばかりに、敢えてアレに取り込ませないように仕組まれ、そして最後に兄さんがぶん回し……というのは、元々考えていたのかもしれないし、ある意味ファンサの要素も強かったんじゃ無いかと思っています。兄さんが踵を返した時「ハカセ&スコットクンのあれあぁぁぁぁぁぁあぁあ~!」ってなっちゃったもん。閑話休題)

そこまで考えてふと。
いや、実はハカセ、ホントはスキエンティア関係者そのものだったりとかした可能性もある? 
あるんじゃない???

スキエンティアから資金援助得て、ヴェクターにもハイアムズにも依拠しない機動兵器開発を担わされていた、とか。……ハカセ自身は好きなロボ研究が出来てヒャホーイで、政治的なゴチャゴチャには関わらない主義だったりとかした可能性はあるけど……。

あの風貌・あのトンチキ感全開のギャグキャラに、わざわざ青野武氏という大物声優さんをあてがっていて、EP1(アウターファイル)から出している所に、ハカセは実のところ「(スキエンティア絡みかどうかはさておいても)元々ちゃんと最重要キャラだった」説が、私の中でムクムクもたげてきてしまったのです。だってぇ、どー頑張ってもBTTFのドクじゃーん。洋画吹き替えの力を知悉していて、その後の作品のキャスティングにも端々にこだわりを見せてきてるソーカントク&スタッフの皆さんならあり得るんじゃなかろか。後にミラリアンとかやっているんだからBTTF好きなんでしょ白状おし!(笑)
行けミラリアン
そんなこんな思っていた所に、ウドゥさん(仮)が「YOU!SS書いちゃいなよ」と毒電波下ろしてきまして。「ゼノブレ3発売日決まってるのにそんな時間無いよ無理無理無理無理!」 と思っていたんですが、カフェの傍らで談笑するスコットクンとドクトゥスという謎の組み合わせが降ってきちゃったんでもう止まらない(爆)。
家庭の事情によりSwitch立ち上げ出来ない日々が突然発生してしまった事もあり、その隙間でちゃちゃちゃーと書いてしまいました。
……まだあったんだ私にこんな起爆力、と思いながら、せっかくアウター&ゼノフリ絡みの内容というか時系列だからEp2発売日おめでとりに使おうかなと思っていたんですが。

ここでもまた自由の中断。

SS書き散らすのはスマホでも出来るけど、推敲と成形、ブログやツイへの投稿準備がPCに慣れた身では全く出来ず、泣く泣くEP3誕生日にずらしたというわけです。
今回特に新書ページメーカーでやれるルビ周りと、このブログに載せたルビ周りの扱い、相当にいじっていますので、Twitterの方を見たらまた印象が大分変わるかと思います。新書ページメーカーの方が本来の私らしい感じかもしれない。やっぱりpixivは登録すべきかなあ(まだしてない)

ちなみに、当初二人が出会うのはデュランダル内か適当なドッグコロニーのカフェだったんですが、会話に比して地の文が締まらない→いっそモビィディックカフェで落ち合わせるか→モビィディックならカレーだろ→タイトルと最後のオチ決定
いやぁ良く動いてくれました。カレーは燃料です。(シュニンカレーもぐもぐ)

なお、カレーのスパイスの中でも、クミンシードかコリアンダーかは最後まで悩んだんですが、コリアンダーって要するにパクチーなわけで。
DSに向かって「ぱくちーぱくちー」騒いで、某東北大学未来科学技術共同研究センター教授をいぢめた過去が頭をよぎり、申し訳無さからクミンシードに決まりました。
初代クックルンのクミンちゃん大好きだからそちらも悩んだんですけどね。
クミンシードはじっくり炒めるといい香りですよ~。スパイス沼ですよ~。
なお、5文字以上のスパイスにしたかったけれども、ガラムマサラは公式アンソロでもタイトルに使われていた方がいたのでやめときました。書きながら頭の中でDASHカレーの曲が流れていたのはヒミツだっ!

で、オチまで書き上げてから知ったんですけど。
クミンシードって、中世ヨーロッパでは「恋人が浮気しないようにライスシャワーに混ぜたり持ち物に忍ばせたりする」という使われ方をしていたとエスビー食品のサイトに書いてあったんですねー。
スパイもの(?)風の今回の話に妙に符合してしまい、変な笑いがこみあげてきました。
ゼノってばそんなとこまで言霊引き寄せるんじゃありませんっ!

いやー、やっぱりゼノ二次楽しいよ。うん。
今後も、もっと物語読み込み直して楽しみたい。


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エスビーのサイトの引用元、多分この本かと。(Wikipediaがこれを根拠に書いてたので)

おまけ:
実のところ、SSの技法としては御法度な手法を一つ練り込んでます。「視点の揺らぎ」です。あんまり良くないんですよね(文芸部だと読み合わせでダメ出しされるやつ)。自覚してます。直そうかと思ったけど私の心のカメラがその位置だったのと、何か作りたい気持ちを優先させちゃいました。勢いだから許してっ!




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