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翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

バテンカイトス、リマスターおめでとり!に寄せて

GCという、PS&PS2全盛期の当時には「所詮任天堂だからお子ちゃま向けハードでしょお?」な時代の空気感に推され、ファミ通クロスレビューは8/8/8/7のかろうじてシルバー、売ってる親会社にも「GCユーザには合わなかったかも」[WaybackMachine]とショボン発言され、次回作の販売元がナムコじゃなくて任天堂に移る羽目になるなど、ずっとずっとずっとずっと「隠れた名作」だった『バテン・カイトス』が!
この令和に!!
何故かリマスター化!!!!!! しかも2本まとめて!

いやあ、出して出して出して出して言い続けてましたが、本当になるとは思ってなかった!
あれだけバンナムが塩対応で、モノリスも任天堂にドナドナされて、モノリスという物作り集団をすくい上げた中村社長も岩っちも亡くなったから、海外での版権をバンナムがガチ握りした時点でもうほとんど諦めてました。
(スマブラSPでのスピリッツの版権を維持→塩漬けする為のものかとてっきり。思えばこれリマスターへの伏線だったわねー)

RTA界隈でオオウケだっただけじゃない、【精霊の集い】に代表されるような、あの作品に見入られた精霊さん達の不断のファン活が実を結んだ結果だと思う。
人生タイミングが悪くほとんどこれらに参加出来なかった自分としても、本当に地道に皆さん頑張ってこられた姿は見てきたからなあ。
ありがとうありがとうをいくら言っても足りないよ。
初回特典ドルアーガが手つかずの身で言うのもおこがましいですが!
(名作と名高いからファミっ子としては通過儀礼なんだと思ってるが米炊くの楽しすぎてなかなかやる機会がががが)



その中でも、私が本当にありがとうを言いたかった事。
それを、本根さんが明かしてくれた。

夏休み&その後の事後処理で気づくのが遅くなってしまったけれど。
見つけてほああああとなって、勢いでコメぶん投げてしまい、いろいろ時間無いのにブログ書きたくなっちゃうくらい。
夏休み明けの断食明けゲーム時間犠牲にしてでもこの思いは書き残しておきたくなるくらいなの!!

これね、私にとって本当に嬉しいことの一つだったの。
それは90年代の頃の私が、ロールプレイングゲームという【物語】を好きになったきっかけの一つだから。
男の子向けとか、女の子向けとか、そういう区分のない、ただ、ひたすらに物語を楽しむ媒体。
分け隔ての無い懐の深さに、深く心を奪われたのだから。
男の子はこれを好きになるべき、女の子はこれを好きになってはいけない――そういう他人の価値観でがんじがらめの子供時代を育ってきた身として、そこには本当に自由がある――そう感じる事が出来たの。

自由恋愛とはほど遠い環境で、親や親世代の接待の為に一般のドラマで描かれる恋愛の物語を理解しろと要求される日々に辟易していたのもあるかもしれない。
親の認めた友達の家に行った時に見せて貰える「女の子向け」の恋愛マンガにさほど心惹かれなかった自分にとって、RPGは、男性向けでも女性向けでもない「自分向け」の物語と感じていた。恋愛要素もあることはあるが、あくまでわずかなエッセンスとしてだけで、恋愛それそのものだけを重大事として中心に回らない冒険物語の有り様は、見ていて本当に楽しかった。

これを「楽しい」と感じる、唯一私にしか持てない「自分の好き」と向き合うことが、心底楽しかった。

岩波の少年少女文学全集のようにどちらの性別で読んでも面白いものが好きで、その流れから、90年代RPGを同じように捉え楽しんできたかつての十代の私にとって、バテンがその流れを堅持してくれた事、その時代だけのものになりかねない「萌え」に寄らなかった事、「萌え」に寄らないよう作り手が踏ん張ってくれた事は、本当に本当に嬉しい。

古びた本をめくり、こことは違うどこかへ――ここにある「男」と「女」を隔てる誰かの価値観から解き放たれて自由な心で――旅に出ること、その感動を、他の人たちとの分かち合いやすくなる事が今純粋に嬉しい。

好きなものは好き。それでいいじゃない。
そう背中を押してくれる存在が、私にとってのRPGだ。

そんなRPGが、21世紀の頭に出たそれが、令和の今になって再評価され多くの人の手に渡る。
一精霊として本当に本当に嬉しいなあと思う。
男性向けに/女性向けにと、強くターゲッティングをした方が物は売れるのだろうし、マーケティングとしての瞬発力はそちらの方がより強いのはきっと確かなのだけれども、でも、そういう考え方に押し込められる事に疲れ果てた人だって、今の時代にはきっといるはず。かつての私がそうであったように。私の子供達がそうであるように。

そういう物語を好きな人たちに、届け、こころの翼。

「このゲームをやった後に、旅に出かけたくなるような、そんな作品になるよう頑張りました」というコメントで初お披露目の時に彩られた物語を、誰とでも、是非一緒に楽しみたいです。


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