忍者ブログ

翠輪堂-日記-

文月あずさ@JADERINGSもしくはAzusa-Fの趣味的日常記録/不定期更新

ゼノギアス22周年おめでとり!!
ええ?もう20周年から2年経ったんですか? 早すぎません?
年を取ると時間の進みが早くてのう…ヨボヨボ

まぁゼノギが出た後の私の人生における濃密な2年間に比べたら、正直シュミ充薄味な2年だからなぁ。現状仕方ない事とはいえ。

でも、ツイでゼノ描きさん達やゼノ好きさん達がオフ会してたり、今度サンクリ内でモノリスト開催されたりとか、腐女子沼片足突っ込んだまま抜けられないご隠居としては、若い人達の楽しんでいる姿に、気持ちも軽やか・若返る気分を日々もらっている次第であります。

それが関係してるかどうかはさておいて。
ゼノコンBDが決まった時、嬉しさのあまり勢いでエバノにがしがし書いたお話がありまして。
ささやかですがお祝いにぺたりんこ。

ていうか、途中まで書いて、細かい部分詰め損ねていて、しばらく書き直す余裕がないままBDの発売日を迎えまして。で、実際のBD見たら、舞台のライティングの様子とか全然違っていて「ぎにゃー」となり(笑)。ニコ生越しの記憶が嬉しさのあまりウェルス化 していたようです。
なので最初の勢いからは大幅いじりましたが、とりあえずまとめあげました。俺様満足。自己満足。



この手の二次苦手な人は、いつも通り商品画像貼っておきますのでリターン推奨です。

…在庫アリなのになんで商品画像がないんですかー楽天さん~(T_T)
えーいリバディスクでせめてもゼノギ気分を!


「先生~明日のカメラ借りに来たんだけど~」
 山の上にたたずむ一軒家。麓のラハン村の住民が頼りとする医師、シタンが家族と住む家だ。そこに、フェイはひょこりと姿を現した。
 翌日に控えた二人の親友の結婚式、そこで使うカメラは彼から借りる事になっている。病気や怪我の類いの知識はもちろんのこと、機械の扱いに長けた風変わりな医者を、村の皆は日頃から頼りにしていた。
「あれ~? いないのかなあ。往診かなぁ…」
 呼んでも反応がないのはよくあること。勝手知ったるといった風情でフェイは裏のガラクタ部屋へと足を伸ばす。……ガラクタ部屋などとシタン本人の前で言ったらきつくたしなめられるであろうが、何に使うかわからないような機械がごろごろ転がっている部屋は、誰が見たってガラクタ部屋としか呼べないだろう。
「先生~いないのかーい」
 床に散らばった工具の箱を避けつつ、フェイは辺りをきょろきょろと見回す。その目が、作業机の上に置かれた洗面器ほどの大きさの黒い本のような物体に吸い寄せられた。
「……鏡?」
 大きさはやや大きい書物といった風情か。薄く細かい傷があるものの、よく磨き上げられた板が直立している。黒くすべすべの表面は、最初見た時鏡かとも思ったが、わずかに顔が映るのみで、これで化粧をしたりひげを剃ったりしてもよく見えないだろう。
 その土台の部分には丸い彫りのある板が蝶番で繋がっており、上の板を倒せば本のように折りたためそうだ。脇から伸びる紐状のものは、布とはまた違った質感のもので、どこかガラクタの山の中に突っ込まれている。どこに繋がっているのか全く想像がつかなかった。
 土台の手前の方には四角いボタンがいくつもあり、三角を二つ重ねた記号やら四角やらの記号が整然と並んでいる。そのひときわ大きい三角のボタンの手前側で、オレンジ色の優しそうな光が小さく浮かんでいる。
「なんだろ、これ……」
 思わずフェイは手を伸ばす。少し表面をなでるだけのつもりだった。が、ボタンはそのわずかな力だけでもカチリと沈み込み、光の色が薄い緑色に変化する。同時にジジ……ガガ……とこすれるような音。直立した黒い板に走るノイズ。
「わ、やばっ……」
 泡食って手を離すも、どうしたらよいかわからない。無駄にバタつくフェイの目の前で、黒い板の――液晶画面の上に、一筋の赤い光が差し込んだ。

 ず……ん

 腹の底に響くような音の後、むせび泣くように流れる弦楽の音。静かに、もの悲しく、滔々と響き渡る。
「え? あ? ええ?」
 不安定に踊る旋律。か細く、でも確かな響きが、目の前の機械から発せられる。
 画面は光が差す時もあれば、砂嵐を交えて見えなくなったりと安定しない。だが、合間合間で人々が――奏者が――楽器を手に、もの悲しく冥く不安をかき立てるような音を紡ぎ上げる。
 ぞくりと、背筋を走る感覚。
 フェイは息を飲んだ。目が、耳が、離せない。
 静かにうねる海のような響きが、転瞬、荒々しく舞い上がる。嵐が、音が、フェイの五感を鷲掴みにする。
――「おまえさんの行く手には黒く冷たい風が吹き荒れておるぞ」
 昼間、村で戯れに掛けられた言葉が脳裏をよぎる。冗談だと呵々大笑して言われたそれが、まるで旋律となって襲いかかってきたかのよう。
――これは……。
 荒々しく吹き荒れた音の波は、大きな破滅の音を響かせた後、深く地の底を這うような男声の響きに代わった。寄り添うかのように静かな女声が唱和する。白くけぶる画面。ゆらゆらとゆらめき、夜の帷へと沈んでいってしまうかに思えた重奏は、しかし、昇りゆく払暁の光のような風琴に誘われ、ただ気配だけを残して静かに消え去っていった。
──この感覚、どこかで……。
「おや、動かしちゃいましたか」
 背後から声がした。びくりとして振り返ると、そこにシタンの姿があった。彼は僅かに嘆息する。
「ここの物を勝手にいじっては駄目だといつも言っているでしょう?」
「ごめんよ先生。ちょっと気になっちゃって、つい……」
 機械は次の曲を奏で出したようだ。柔らかで規則正しい旋律をなぞるかのように、縦笛の深い音色が静かに歌い上げる。
「これ、いったいなんだい?」
「それがわからないんですよねぇ。この中に青くてすべすべした円盤が入っていて、それが回って音や動く写真が出るらしいというのはわかったんですが……」
 シタンの節くれだった指が、土台の円を静かになでた。
「音は何とかなりそうですが、絵は安定しませんね。どうやったら直せるかな」
「ああ、待ってよ先生」
 四角のボタンを押そうとするシタンを、フェイは慌てて止めた。
「もう少し、聴かせてくれよ。……なんだかとても懐かしい気がするんだ」
 シタンはきょとんとフェイを見たが、それも一瞬のこと、いつものように柔和な笑顔を浮かべて首肯する。
「ええ、いいですよ。どこまで動くか、私も気になっていましたしね」
 静かに画面を――今は黒く何も映さない画面を共に見つめ、シタンは静かに呟いた。

「もしかしたら、あなたの中に、この音楽が好きだった誰かの心が生きているんでしょうね……」





後書きイイワケとりあえず蛇足。

ロストテクノロジーを見た後退人類の思考書くの、たーのしー!!
BDプレイヤーの描写、めっちゃ楽しかったです、ハイ。いくらシタンに変な物日頃見せられてるとはいえ、フェイ、わっかんねぇだろうなあ~(ニヒニヒ)と書いておりました。
気合いが入っているのは『冥き黎明』の旋律を言葉で表現するところですが、難しいけど楽しいねぇコレ。かつてTIGRAFの水口さんの講演で「ゲーセン音楽は音抜け重視」という言葉があったんですが、RPGの音楽――特に植松さんによってスクウェア音楽室で煮込まれて、それをその身に溜め込んで描き出してきた光田さん達の作る曲は、やっぱりかつてのゲーム音楽という枠組みからすると新たな進化の一つの形を作ってるよね、と思います。とはいえ、最近のゼノだと光田さん、完全にドラマ部分の曲ばっかりで、それはそれでいい曲ばっかなのだけれども、このゼノギの時代だと、フィールド曲のようなループする曲も面白み多い曲多かったんで、またそういうのをゼノで描いて欲しいなぁ、と欲張り思ったりw
それとですね、楽器の和名、いくつか本来の和名と違う部分があります…が、フェイはそんなに楽器に精通してないだろ、という偏見(だって音楽的なものにあんまり触れてないじゃん過去も現代も)で、多分あまり楽器知らん人が聞いたらそう表現するんじゃないかなー的名称に変えてあります(その方が響きが良かったから、というのもあります)。 なので、他所でうっかり言うと恥かきます。ご注意。


さあて、23周年に向けて、またゼノ充続けていきますかね♪

拍手

PR

コメント

コメントを書く